「17音の小宇宙―田口麦彦の写真川柳」
 
第7回 2009/08/07


  
  Photo by Kuniko Sakamoto
 野球はアメリカでベースボール(base ball)として始まった。それは、みんな知っている。
 日本では1873年(明治六年)に初めて開成高校(東京大学の前身の一つ)でアメリカ人教師が生徒に教えた。
 野球という訳語は1893年ごろ一高ベースボール部の中島庚らが考案したと言われている。それが世界各地に広まって五輪種目にもなる。3年前にはWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の第1回大会が発祥地のアメリカで開催され、日本はその初代チャンピオンとなった。
 その第2回WBCが2009年春開かれ、激闘の末二連覇を遂げた。
 暗いニュースが多かった中の明るい話題だったことは記憶に新しい。
 その経過を西日本新聞「ニュース川柳」入選句で再現してみよう。

  侍ジャパン勢いつけて二連覇へ   児玉幸宏
  侍ジャパン車懸かりの陣でいざ   船原清洋


 これは日本でのアジア一次予選通過。
 そしてアメリカ・キューバ・韓国等強豪との戦いを制して、日韓の決勝となる。

  日韓の頂上決戦 アジアの春    田代利津

 歴史に残る一戦をみんな熱く見たことだろう。宇宙基地からも。

  ロス激闘 侍ドラマありがとう   牛尾 寿
  侍を見ていましたか若田さん    増田一男
  イチローの好打で下がる血圧計   徳島一郎


 翌日の紙面を飾った作品である。
 日本中を熱くさせてくれてありがとうと言いたい。王ジャパンから原ジャパン。指揮官の采配も見事。選手の気持ちが一丸になった結果であろう。


(c)Mugihiko Taguchi


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