「17音の小宇宙―田口麦彦の写真川柳」
 
第9回 2009/08/21




  菊地桃子も少年隊も鈴ならん

 音楽は国境を越えるという。そうであろう。
 ことばは通じなくとも、わかり合えるからである。旧ソ連のラトビア生まれでクラシック界のスーパースターと言われるバイオリン奏者ギドン・クレメールさんが2009年5月来日し、大分県別府市の第11回別府アルゲリッチ音楽祭で演奏した。
 ピアノのマルタ・アルゲリッチさんと協奏するためである。当日はヤナーチェクとシューマンのソナタを演じて聴衆を魅了した。
 そして「音楽ほど素晴らしい可能性を持つものはない。相互理解をもたらす最高のツールです。」というメッセージを残した。
 器楽に限らず、声楽でもその力は国境を越え、時代を飛び越して人々に感動を与える。
 クラシック、ポップス、ジャズ、歌謡曲、民謡と音楽の領域は広い。
 世界の政治家がみな音楽好きならば、戦争なんか起きないのではないか。
 「SONGS」という歌の番組などを視聴していると、やっぱり歌の力はすごいなあと思う。少々溜まったストレスなどはぶっ飛ばしてくれるパワーがある。
 私はなつメロ世代であるが、若い人たちの歌にも魅力を感じる。いまごろの若者は、たしかに音感がいい。感性で歌っているふうに見受ける。
 いま思うと、私達にとって菊地桃子の歌も少年隊の歌も、鈴の音色だったようだ。
 なつかしい青春をひびかせる鈴。
 菊地桃子さんは、CMで復活して変わらぬ笑顔で楽しませてくれている。
 少年隊のみんなはどこへ行ったのだろう。きっと行く先々で町中を元気にしてくれているに違いない。

(c)Mugihiko Taguchi


前へ 次へ  今週の川柳 HOME